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ベトナム語を学習するとぶち当たる5つの壁とその対策

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1. 発音が難しい

最初にして最大のベトナム語の壁。。。

それは、
発音が難しい!
ということです。
この壁は高すぎるので、乗り越えた時にはきっとベトナム語が喋れるようになっていることでしょう。どのように難しいのか?ということについて、さらに3つに分けて説明します。

1-1. 声調が6個もある!

ベトナム語には声調が6個あります。

  • Thanh ngang (平らな声調)
  • Thanh huyền (下がる声調)
  • Thanh sắc (鋭い声調)
  • Thanh hỏi (尋ねる)
  • Thanh ngã (倒れる声調)
  • Thanh nặng (重い声調)

です。
この6つを聞き分けたり、言い分けたり出来ないとベトナム語を話すことはできません。
例えば、
Bạn đã nói gì?

Bán đá nơi gi.
という声調で発音しても通じません。
声調の違いを文章で説明するのは難しいですが、Google Translateの発音機能で音声を確認できるので聞いてみてください。

https://translate.google.com/#vi/en/B%E1%BA%A1n%20%C4%91%C3%A3%20n%C3%B3i%20g%C3%AC%3F%0AB%C3%A1n%20%C4%91%C3%A1%1Dn%C6%A1i%20gi.

Google Translateのページにあるスピーカーアイコンを押すと音声を聞くことが出来ます。
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英語なら発音がちょっと下手でも大きな声ではっきり話せば、気持ちで伝わるということがあるかもしれません。
でもベトナム語の場合は発音と声調ができていなければ、何度言っても多分伝わりません。
この壁を乗り越える方法は、、
練習あるのみです(笑)。
ベトナム語の声調の難しさは有名なので教科書やウェブサイトに詳しい説明があります。あとでこのブログでも記事を書くかもしれません。

1-2. 母音が多い

ベトナム語は、母音の数が日本語よりも多いです。
ベトナム語の文字はアルファベットを使った表記ですが、
aが3つ(a、ă、â)
oが3つ(o、ô、ơ)
uが2つ(u、ư)
eが2つ(e、ê)
あります。
母音は全部で9個、短母音、長母音を分けると12個あります。
日本語は、ア、イ、ウ、エ、オで、5個なので、倍くらいあります。 この母音を覚えないとベトナム語は喋れません。この内容についてもあとで記事を書く予定です。

1-3. 末子音が日本語と全く違う

末子音は、声調や母音に比べると地味ですが、これも理解しないとベトナム語が正しく発音できません。
日本語は単語の末尾に必ず母音が付きます。そのため日本人は、単語の最後に母音をつけてしまいがちです。
英語の場合、子音で終わる単語がたくさんあります。
book、light、map、などです。
日本人は、これをローマ字表記で、bukku、raito、mappuのように末尾に母音をつけるような、いわゆる日本語訛りで英語を発音してしまいます。英語なら、そのような発音をしてもなんとか理解してもらえると思います。
しかし、ベトナム語は、日本語とは真逆で、英語以上に末尾の子音を発音しません。
というか、ベトナム語の末子音は、どのように音を止めるかについての表記であって、音節ではありません。

私は、3年以上ベトナム語の勉強をして、ホーチミン市に旅行に行き、ホテルで部屋の掃除(ベットメイキング)をしてくれたおばちゃんに、
Xin chào chị. Tôi đang học tiếng Việt.
※意味は「こんにちは。私はベトナム語を勉強しています」です。
とベトナム語(のつもり)で話しかけたら、通じませんでした。。
3年以上勉強したのに、「I have a pen」レベルの簡単な文章が通じない!!
今考えると、これは học という単語の末子音がうまく発音できていなかったからだと思います。

học(学ぶ) は、カタカナの ホック ではないのです。
敢えてカタカナで書くと ホフ に近いです。
oのあとに口をすぼめて閉じ、ほっぺたを膨らませる感じで空気を止めます。
học という単語は、

  • Thanh nặng (重い声調)、
  • ơ ではなく、 ô でもなく、 o という母音、
  • そして、末子音の"c"

と、日本人にとっては地味に難易度の高い単語です。

ベトナム語の末子音に関する対策は、、
各単語の末尾にある子音は、どのように音を止めるかの記号だということを理解する。
という事です。
họcの c を一つの音節としてローマ字表記で hokku の ku のように発音すると、全く通じないということを認識しましょう。

2. 主語がたくさんある

主語というか、正確に言うと人称代名詞です。
ベトナム語は人称代名詞の数が多いんです。

これは学習し始めて5時間くらいで直面する壁です。
教科書の最初の方に大抵、人称代名詞の一覧が載っていますが、数が多すぎて心が折れそうになりますw

ベトナム語は話し手と聞き手の関係によって、 1人称も2人称も変わります。
相手が年下なら、"あなた"は、Em
年上の男性なら Anh
かなり年上の男性なら Ông
すこし年上の女性なら Chị などです。

日本語でも家族の中での会話だと、子供の立場を基準にして人称を変えるということをよくやっています。
「よーしパパ特盛頼んじゃうぞー」
のように 1人称が家族内における立場の名詞になります。
これと同じことを他人との会話でもやっているということです。

人称代名詞が多いことの対策:
1. 覚えるしかない・・・
2. TôiとBạnでなんとかする

3. 単語が覚えにくい

これは発音が難しいと被る側面もありますが、音と声調が多い分、短い単語で色々な単語を表現できてしまうため、それぞれの単語が非常に覚えにくいです。
発音をしっかり出来ていない日本人にとっては、区別できない、似ている発音で、しかも非常に短い単語を覚えなくてはなりません。
基本的な単語の中で一番似ている単語が多いと思ったのは、日本語で"バン"という発音の単語です。
"バン"は、初級レベルの語彙でも5〜6種類くらいあります。
bạn
bàn
bán
bận
bẩn
bằng
などです。

このような単語が、ベトナム語にはたくさんあります。
つらいです。

カタカナ表記で同じ単語の一覧
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対策:
1. 音声付きの教材で学習する
2. まずは正しい発音を身につけてから単語を覚える

4. 教材が少ない

今ではだいぶ増えてきましたが、私が学習を開始した、 4年前、 2014年ごろは、本屋に行ってもベトナム語学習用の本は2種類くらいしかありませんでした。
ネットなら品揃えは豊富でしたが、中身を見てから買いたかったので、本屋で良さそうな本を見つける度に買っていました。
結局、10冊以上買いました。
ただ、旅行に行くときに使えるフレーズが載った本はありますが、本格的に学習する人向けの本はまだ少ないです。
ベトナム語を数年勉強している途中で中国語の勉強を再開したとき、教材の多さと質に軽く感動しました。
私は、最近、日本語能力試験(JLPT)のベトナム人向け教科書を使っています。
ウェブ上の動画なども増えてきたのではないかと思います。

対策:
ベトナム人向けの日本語検定の本が使えます。

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5. 言い回しが独特?

これは今私が直面している壁です。
facebookなどでベトナム人同士の会話を見ると、単語が全て分かっても意味が理解できない事が多々あります。
推測ですが、何かを省略しているか、単語自体に辞書に載っていないような暗黙的な意味が含まれているのか、、
とにかく何かが足りなくて文章が理解できません。
英語でもニュースの音声より、日常会話の音声の方が聞き取りにくいことがよくあるので、これはベトナム語に限った話ではないのかもしれません。

ベトナム語は、文法は英語に似ています。文型としてはSVO形式です。
でも、私がまず頭の中で英語の文章を作り、それを直訳する形でベトナム語で話したら、意味が分からないと言われた事があります。(そこまで難しい話題ではなかったはずですが)
それぞれの単語は分かるけど、文章として意味が分からないと言われました。
そのベトナム人は英語ができる人だったのですが、それでも私のベトナム語は通じませんでした。

この壁の対策は、、まだ分かりませんw

あと、ベトナム語はスマホやパソコンでの文字入力には向いていない言語です。
入力補完も発達していないですし、音声記号、声調記号を正しく入力するのは面倒です。ベトナム人も入力は英語の方が楽だと言っていました。
そのため日常の書き込みでは省略が行われます。
例えば、với (英語でいうと"with"に近い単語)は、
vs
と略されます。・・・なぜ?
với はベトナム語入力システムでは voiws と入力します。
voiに続けて、
音声記号 ơ を入力するための w、
声調記号 ớ を
入力するための s、 を付加するためです。
そして入力順である、 voiws の最初と最後だけ残して
vs
です。
Versus ヴァーサス。
ゴジラVSモスラ 的なやつかと思ったら、違いました。

まとめ

と言うわけで、ベトナム語は難しい言語なんです。
インターネットが普及していなかった時代なら
日本にいる日本人がベトナム語を習得するのは無理だったでしょう。
しかし、いまなら努力次第でなんとかなります。

ベトナムは、平均年齢30歳前後、人口は2020年に1億人になります。
日本にいるベトナム人は29万人。5年前は5万人程度でした。
これからますます日本とベトナムの関係は深まっていくでしょう。
今からでも遅くない!
ベトナム語を勉強しましょう。

以上でした!