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ベトナム語のおすすめ勉強方法【初級レベルを抜け出すまでの道のり】

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前の記事の続きです。
ベトナム語学習歴6年のクボッチが、ベトナム語の学習方法について書きます。
前の記事はこちら:
ベトナム語って難しい?習得の難易度について - kicks.jp blog

だいたいこんな事をやっていた 6年の軌跡

まずはこの6年間、どんな勉強をしていたかを簡単に振り返ってみます。

1年目

1年目は本屋で売っている「はじめてのベトナム語」という感じの本を買って、それを読んで勉強していました。CD付きです。最初の頃は何を読んでもはじめての内容なので、ある意味学習効率はよかったと思います。
始めの頃はやる気もありました。もう覚えてないですが1日あたりの学習時間もおそらく長めでした。
勉強し始めて4ヶ月後のSNSの書き込みを見ると「片言のベトナム語ができるようになったはず」と書かれています。6年後の自分が見ると「ホントか?」と思いますが、自己紹介や挨拶くらいならできていたと思います。

2年目

2年目くらいから東京にある"英会話カフェ"のベトナム語テーブルに参加しました。最初のベトナム人の先生は、英語とベトナム語しかできないベトナム人女性でした。この頃から、本屋で新しいベトナム語学習書が出たらとりあえず買っていました。いま確認したら、家にベトナム語学習用の本が12冊ありました。

3年目

2016年1月に人生初のベトナム旅行に行きました。ホーチミン市です。
この時点では、ベトナム人との会話はほぼできない状態でした。そもそも自分の言いたい事をベトナム語で言えるレベルの語彙がなかったと記憶しています。

4年目

2017年。
「キクタン日本語 N3」「キクタン日本語 N2」を使って単語を覚えていたと思います。
2017年12月に2回目のベトナム旅行(ホーチミン)に行き、ホテルの部屋掃除(ベットメイク)をしてくれていたスタッフ(ベトナム人のおばちゃん)に
Tôi đang học tiếng Việt (私はベトナム語の勉強をしています)
という、語学を習い始めて1週間くらいで習いそうなフレーズが通じなくてショックだったのを覚えています。ただ、この旅行から帰って、建設中だったランドマーク81の話とか、旅行の話を"英会話カフェ"のベトナム人にしたら「よくそんな難しい単語知ってるね」的な事を言われたり、ちょっと褒められるようになってきました。
「日本人にしてはベトナム語が上手い」という状態になってきました。

5年目

この頃から、NHKワールドニュースのベトナム語版やzing.vnのベトナム語の記事が、ネットのベトナム語辞書を使いつつ、現実的な時間で理解できるようになったと思います。それ以前は、どれが主語でどれが動詞なのか、どれが1単語なのか、などが分からなくて、まともにベトナム語が読めない状態でした。
興味がある分野の記事なら辞書がなくても大体の意味が分かるレベルになってきました。

6年目

2020年1月で計算上は、丸6年以上です。
2020年1月にホーチミン市に旅行に行き、タクシーの運転手やホテルのスタッフに話しかけて、ほぼベトナム語でやり取りができるようになりました。
8日間の旅行中で「どれくらいベトナムに住んでるんですか?」と3回くらい聞かれたので、住んでるレベルのベトナム語能力は身に付きました。
6年目の勉強内容は、それまでと大体同じです。NHKワールドニュースのベトナム語を聞いたり、新しく出版された「ベトナム語会話フレーズ 2900」のCDを聞いたりして勉強しています。

ベトナム語で一番難しいのは発音です。 なので、本だけを読んで音声を聞かず、カタカナ発音のベトナム単語を覚える、というのは最悪の勉強方法です。 ベトナム語を学習するときは必ず音声と一緒に単語を覚えましょう。今では、音声CD付きの学習書やYoutube動画、ニュース動画などがたくさんあります。 意識しなくても音声の学習はできると思います。 発音が難しいベトナム語ですが、他の言語と同様、学習で一番時間がかかるのは単語を覚えるという作業です。 

ですので、ことさら"まずは発音を完璧に"ということを意識する必要はないと思います。

おすすめ勉強法

おすすめの勉強方法は、
「キクタン日本語【日本語能力試験N3】」
「キクタン日本語【日本語能力試験N2】」  を使って音声と単語を覚えることです。  この勉強法は、「旅行ベトナム語会話」的な本を2冊以上読んだ後にやると有効です。 

家にあるベトナム辞書は「見出し語8000語」と書かれています。これは全部覚えるには多すぎます。  一方、旅行に行く人向けのベトナム語学習本では、単語数が足りなすぎます。  帯に短し襷に長し!  その二つの間を埋めてくれたのが、キクタン日本語です。
日本で働くベトナム人が増えていることもあり、日本語の単語に対して、英語、中国語、ベトナム語の対訳が付いた単語帳になっています。 重要なことですが音声もついてます。   単語数はN3: 1000単語 + N2: 1000単語です。   これで日常会話、自分の言いたい事を言うための語彙が身につくと思います。 

ベトナム人に見せたら、ベトナム語の単語に違和感がある、みたいな事を言われました。日本語の単語に対して意味を限定するために、硬い表現の単語になっているようです。ですので、この本を丸暗記するだけでなく、ベトナム人と会話して自然な表現を身に着けることも重要かと思います。  他にも、音声が 日本語、ベトナム語、日本語 の順で収録されていることなど欠点はありますが、音声付きのベトナム語単語帳がほとんど存在しない状態ですので、この本で勉強するのは非常におすすめです。 

文法、単語、発音 学習の優先順位

すべての言語に言えることですが、単語を覚えるのが一番時間がかかります。天才的な記憶力の人なら別ですが、日常会話以上の語学力を身に付けようとしたら、一番時間がかかるのは単語を思える作業です。発音が難しいベトナム語でもそれは変わらないです。
発音は気合いを入れれば3ヶ月で最低限のレベルに達すると思います。その後、発音を改善していっても十分です。 現代のベトナム語は、漢字が無いので単語を覚えるのも時間がかかります。ある程度の語彙がないと、どちらにしてもまともな会話はできないので、単語を覚える事を優先した方が良いです。ただし単語を覚えるときは音声とセットで覚えないとダメです。

壁を超えたを思えた状況

1度話して伝わらなかったら、別の言い方をして、それで伝わる、というレベルになったとき、
「ベトナム語がしゃべれるようになった!」と思えました。
例えば nước(水)という単語があります。 これを間違えて nuốc と言ったとします。 1単語だけだと発音が間違っていたら通じません。 でも、語彙が多ければ、
uống nước : 飲み水
nước sôi : お湯
may nước : 水道
と言ってみたり、
cái cốp コップと言って連想ゲームのように水と分かるようにしてみたり、
一つの名詞に対して別の言い方が出来ると、発音が完璧でなくても相手に理解してもらえます。
そして、ここまでくれば、しめたものです。
ベトナム人が「あぁ、 nước  (水)ね」と正解を教えてくれます。
「nuốc じゃなくて nước だったかー!」と修正できるようになれば、ベトナム語力が一気に改善します。

フレーズで覚える

単語数を増やしたり、会話できるようにするには、フレーズで覚えることも重要です。
ベトナム語は声調があるので、文章のテンポも覚える必要があります。逆に決まり文句を丸暗記すると発音がちょっとズレていてもベトナム人に理解してもらえる確度がかなり上がります。
旅行会話レベルなら、この方法が一番効率的です。

似た単語を重点的に覚える

ベトナム語は音節の組み合わせは膨大にあって、発音は難しいですが、 意味を持った単語としての語彙数が他の言語と比べて多いわけではありません。
発音や綴りが似ていて紛らわしい単語を重点的に覚えると良いと思います。

発音が似ている単語一覧:
blog.kicks.jp

誰に習うか

もし、ベトナム語を習うなら、私個人の考えとしては、可能ならベトナム語ができる日本人に教えてもらうのが良いと思っています。 ベトナム語を教えた経験が全くないベトナム人からベトナム語を習うのはあまりお勧めできません。
自分が遭遇した具体例を2個書きます。

素人ベトナム人に習ってはいけない事例1

ベトナム人は単体の  ă の発音をするとき、実際の単語中のものとは違う発音をします。
a は日本語の「あ」より口を大きめに開いて「あー」です。
ă は、 a と同じ発音で、短く「あ」と発音します。
つまり、aは長母音、 ă は短母音という違いです。
しかし、ベトナム人は ă を単体で発音するとき、  á と同じ発音をするようです。
長母音としての a に上がる声調 thanh sắc で ă を表現します。
これはベトナムの学校でそのように教えているからみたいです。
ベトナム語を語学として語る時に、口頭で a と ă を言い分ける方法が  a と á になっているようです。
ベトナム語初学者が、この事情を知らないので発音を聞いたら混乱すること間違いなしです。

đang học 勉強しているところ 〜している を表す助動詞
đăng ký 登録する
この2つのđangの違いは、ダーンと伸ばすかダンと短く発音するかの違いです。
でもベトナム人が ă がのことを á を発音したら、初学者は đăng を đáng と発音することになります。

素人ベトナム人に習ってはいけない事例2

ネイティブなら大抵そうですが、正しいか違っているかの判断はできても、どのように違っていて、どのように直せばよいのか口頭で説明できる人は少ないです。
ベトナム語の音節は、
先頭の子音 + 母音 + 末尾の子音 + 声調 この組み合わせですが、パターンが膨大です。

教えた経験のないベトナム人は、日本人が話すベトナム語の発音について、
正しい・違っている
の回答だけしか、してくれません。
なので、どれが正しい発音なのか、ひたすら組み合わせを試して確認することになります。
例えば、viết と言いたいのに việt と言ってしまった場合で、 vと bの発音の違いも知らなかった場合、
自分:「việt?」 → ベトナム人:「違う」
自分:「biệt?」 → ベトナム人:「違う」
自分:「biết?」 → ベトナム人:「違う」
自分:「viết?」 → ベトナム人:「それはあってる」
自分:「え!?どれ?」
自分:「biết?」 → ベトナム人:「違うよ!」
自分:「viét?」 → ベトナム人:「全然違う。」
自分:「・・・もう無理」
という感じの不毛な確認作業をベトナム語を1フレーズ言う度にすることになります。  挫折する事間違いなしです。 日本語で説明できるくらいの日本語力がないベトナム人にベトナム語を習っても、効率的にベトナム語の発音を学ぶことはできません。
ベトナム語を習うのであれば、
「今の発音は、xxと言ってしまっているから違うんです。xxのように直してください。」
と理由と直し方を日本語で説明してくれる人に教えてもらうのが理想です。
発音の専門家みたいな教師がいないのなら、自分よりベトナム語がうまい日本人とベトナム人の二人体制で教えてもらうとかの方が良いかもしれません。(やったことないですけど)
日本語ができないベトナム人に教えてもらって、撃沈させられるよりは費用対効果が高いです。

この他にも発音に関連したハマりポイントがたくさんあったと思いますが、例としては2個にしておきます。

まとめ

自分の経験を思い出しながら、アドバイスになりそうな事を書いてみました。