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ベトナム語でクリスマスは「のえん」?

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ベトナム語では、クリスマスをNoelと言います。
英語の「Christmas」ではなくて、Noelです。
20世紀半ばまでフランスに統治されていた影響で、クリスマスという文化や単語が、フランス語で定着したようです。
日本でも「ブッシュ・ド・ノエル」というお菓子が有名だったりしますね。これはフランス語で「クリスマスの木」という意味だそうです。

でも彼らベトナム人は、Noelをノエルではなくて、ノエンと発音します。
いったいなぜ...?
どうやら、ベトナム語の発音と関係があるようです。
ベトナム語には、単語(音節)の最後に来る子音が8つありますが、その8つにL(エル)は含まれていません。

ちなみにベトナム語の末子音は↓です。
末子音8個
-m
-n
-ng
-nh

-p
-t
-c
-ch
半母音2個
-o, -u
-i, -y
教科書によると、ベトナム語には10個の末子音があり、その内2個は半母音だそうです。

末尾のLは、ベトナム語の単語にないから、どんな風に言うか定まっていない。それがノエンになってしまう理由。。
でも、ベトナム語にないなら、英語や、元のフランス語のように「ノエル」って言えばいいじゃないか、と思ってしまいます。
なんでそうならないのかと言うと、ベトナム語の頭子音(先頭に来る子音)には、Lがあり、Lを発音する時の舌の形がNの時とだいたい同じだから。

音声学では、頭子音のLの発音は、
歯茎側面接近音で
Nは、
歯茎鼻音と言うらしいですね。

なななー
La La Laー
と言うと、どちらも舌先を上の歯の付け根あたりに押し付けて発音しています。
違いは、空気を鼻から出すか、横の歯のあたりから出すかです。
なのですが、ベトナム人は末尾のLでこの違いをあまり意識していないようです。
・・・LとNは、けっこう違うような気がしますが。

ハノイに行った時、ハノイのことをハロイと言うベトナム人がいました。
Hà Nội じゃなくて、 Hà Lội みたいな。
しばらく会話して、ハロイがすごい有名な場所を指しているっぽいことが分かり、
もしかしてハロイってハノイかー!と会話中にギリギリ理解できたのでした。
危うく「あの人は何を話していたんだろう?」で終わってしまうところでした。
先頭のNでもLみたいに発音するベトナム人がたくさんいるみたいです。

日本人の感覚だと全然違う音に感じるLとNは、ベトナム人にとっては結構近い音なんですね。 逆に、ベトナム語でLで書かれている単語をNっぽく言うとネイティブっぽく喋れるんでしょうかね?
言語マニアみたいにならないと身につかないベトナム語。恐るべし。

ちなみに、クリスマスを表す別の単語として giáng sinh という単語もあります。
giáng sinh の漢越語は「降生」だそうです。
中国語由来なのかと思ったら、中国語だと、圣诞节、聖誕節 (Shèng dàn jié)だそうなので、語源は分かりませんでした。