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ベトナム関連のブログ

外資系ベンチャー(ユニコーン企業)をクビになった話

最近、ブログを再開した。
今年2月にベトナム語に関するエントリーを書き、途中で「転職しましたー」なんていうエントリーを1つ書いた後、放置していたこのブログを12月からまた書き始めたのは、、
会社をクビ!になったから。
クビになったと言うのは正確には違うらしいけど、退職合意書にサインした。
自主的に辞めたという判定で、クビ(解雇)ではないらしい。でも要するにクビだよね。
この記事では一部始終と、今の感想を記録しようと思う。

自分と辞めた会社について

元プログラマー30代後半、前の会社は10年以上勤めていた。
入社したのは3月。外資系のいわゆるユニコーン企業
知り合いに声をかけられて入社した、リファラル採用だった。

ありのままに書くぜ

事の発端というか、一部始終というか、まずを起こったことを書く。

1回目

11月半ばのある日、1on1という名前の予定が入っていて、作成済みの、下期の目標について上司と話し合うんだろうと思っていた。
上司と会議室に入ると、直後に、会ったことのない女性が開いているドアをノックしながら入ってきた。
「何だろう? 間違えて入ってきた?」
なんて思っていたら、その女性が「人事のXXです」と名乗る。
あ、これはヤバいやつだ、となぜか察してしまった。
給料を下げさせてくれ、という依頼か、
退職してくれという依頼か、
どっちかだろう、と漠然とながら推測した。
まずは上司が何やら話はじめた。
要は、私のパフォーマンスが低い、とのことだった。
具体例を言われて、それにちょっと同意しつつ、軽く反論する。
何回か、お互いの主張を述べるやり取りがあり、
その後、こちらから切り出してみた。
「パフォーマンスが低いと言う件については、納得はいってませんが、
で、本題は何なんですか?」的な。
そうしたら、人事の女性がA4の紙を渡してきた。
見たら書類のタイトルは、「退職合意書」だった。
正直、減給とか、ボーナス出ないです、ぐらいを予想していたため、印刷された退職依頼まで出してくるとは、想像以上だった。
日本では正社員はなかなか解雇できないというのは知っていたし、マジかよ?と思った。
当然、合意しませんと言ったけど、この時「この会社に少なくとも1年はいるつもり」と言った(言ってしまった)。入社して8~9ヶ月経っていたので、残り3~4ヶ月。
後から考えるとちょっと期間の主張が短かすぎたかも。

ちなみに、この日の1on1が、本当に1on1という名前だったかとか、ミーティング参加者に人事の人が元から入っていたかは覚えていない。スケジュールに元から入っていたら事前に察知してちょっとだけ準備ができたかもしれないけど、あまり関係なかったかも。

合意はしません、とその場で回答して、渡された「退職合意書」は持ち帰るけども、合意する気は無いです。と言って、この日のミーティングは終了。
1週間後にまた同じ話をするという事だった。

2回目、3回目

そして、翌週の2回目、翌々週の3回目のミーティングは、押し問答みたいな感じだった。
要するに辞めてほしい理由は、私のコミュニケーション能力が低いから、という事らしい。
大枠としてコミュニケーション能力不足、具体例として2つほど言われたけど、その両方とも比較的簡単に反論できる内容で、その反論に対する回答も、あまり納得できるものではなかった。
詳しく書くと長くなりそうなので、割愛。
でも、はっきり言って、自尊心が全く傷づかないレベルの、言いがかりじゃねぇか?みたいな理由だった、気がする。
上司も「繰り返しになるけど」と断った上で、同じことを繰り返していた。この人たちは自分を辞めさせる気がないんじゃないかと勘違いしてしまうくらいに。
海外の本社から、一定人数に退職勧告をするのがノルマになっていて、それを達成するだけのために、ミーティングやってる?とか、そんな気になってくる。
下でちょっと書く予定だけど、退職勧告されたのは会社の業績が悪化したのが主な要因だと思っている。それもあまり弱気にならなかった理由。

そういえば、この3回目のミーティングで、条件として、辞める気は全くないけど、もし12ヶ月分くらい退職金が出るなら今すぐ決めますよ、と言ってみた。
合意書の内容は、当初は、12月末退社で特別退職金が給料1ヵ月分だった。
3回目が終わった時に受け取った文面は「2月末退社で特別退職金1ヵ月分」というものだった。

4回目

3回目のミーティングの翌日、普通に勤務していたら、夕方に突然上司に声をかけられ、4回目のミーティング。
前回のミーティングで、退職金が増えるなら、、なんて言うやり取りをしていたのだけど、
このミーティングで提示されたのは、3月末退社で特別退職金なし。
これだと、「2月末退社で特別退職金1ヵ月分」と条件的には同じだし。変わってないじゃん。
「これじゃあ、条件が変わってないですが。何で翌日に突然またミーティングなんですか?」
と聞いたら、
「業務免除すると言ったのに今日も出社してるから」みたいなことを言われた。
そういえば前回「業務を免除しますので、転職活動をしてみてください」的なことを言われていた。

そんなやり取りをしていたら、開始後3分くらいで取締役が入ってきた。
その取締役の顔を見たとき、なぜか自分は、クレーマーの常套手段として「上司を出せ」と言ってくる、というネット情報を思い出していた。
その元ネタ的なものは、家電量販店とかで値引き交渉をする時、上司の方が決裁権があるから、店長みたいな人を出してもらった方が値引きしやすい、ということだったと思う。
そんなことが瞬間的に頭を巡った後、人事や取締役が話し始める前に、
「XXさん。 XXさんが参加されるということは、条件面で交渉ができるという事ですか?」
と聞いてみた。
相手が名乗ったりする前に言ったので「この取締役の名前覚えといてよかったー」と思った。どうでもいいけど。
思い返せば、この時点で、辞める方向に傾いたのかもしれない。
でも、思い返せば、この発言と、次のやり取りは、条件交渉としてはちょっと勇み足だったかもしれない。
その後のやりとりは、こんな感じ↓
人事「条件というのはどういう意味ですか?期間についてですか?金額ですか?」
自分「金額ですね」
人事「しかし前回おっしゃていた、退職金12ヵ月分というのは、絶対に出せません。」
自分「じゃあ、いくらくらいなら出るんですか?」
人事「(人事が何か言ったけど忘れた)」
自分「こっちから言った方がいいんですか? 、、半年分とか?」
人事「それも全然無理です。」
自分「、、3ヶ月ならいけるんですか?」
人事「3ヵ月。その額を提示したら、退職に合意するんですか?」
自分「まぁ、そうですね。」
人事「すぐには回答できないので、来週、回答します。」
自分「検討をよろしくお願いします」
という感じで、4回目のミーティング終了。
追加で3ヶ月分の退職金が出るなら、合計7ヶ月分が働かずに手に入る。そうなったら合意だなーっていう。
この日から業務免除ということで1週間、出社しなかった。

5回目

5回目のミーティングのため、1週間後にこのためだけに出社(出社っていうのか?)。
会社から提示されたのは、、
ゼロ回答。
退職金の積み増し無し。
前回、最後に「検討をお願いします」とか言って、下手に出ちゃったのがいけなかっただろうか。。。
4回目の時点で、人事の人が、合意できない場合は、なんちゃらプログラム(要するに追い出し部屋みたいな)という特別な対応を開始するとも言われていた。
積み増しが無しだったら、嫌がらせで居座ることを決意していたのだけど。。
5回目は、金曜日だったので、月曜日に再訪して回答することにした。

6回目

結局、土日でその考えが変わってしまい、
6回目のミーティングでは、特に交渉することもなく、合意書にサイン。
退職が確定した。
今年3月に入社して、来年3月末までということで、1年と1ヶ月で退職となった。
この日の夜に、メールやSlack等、社内システムへのアクセス用アカウントが停止された。
最初に退職勧告されてから、サインするまで1ヶ月弱だった。
以上。終了。

次の文からは、補足とか感想とか・?

背景っていうか前兆っていうか

自分に退職勧告が来る前から前兆はあった。
9月ごろの全社ミーティングでオフィスに集まった時、ミーティングが始まる前に、日本法人の社長が、(大げさに言うと)泣きそうな顔をして座っていたのを目撃した。
「随分と冴えない表情だなー」なんて思いつつ、気軽に考えていたのだけど、今思えばあの辺りで、本社から何らかの通達がきていたのではないかと思う。推測だけど。
今年の売り上げが未達というのも全社集会で発表があった。その後、社員を鼓舞するためか、明るい話題もあったし、気にしてなかったんだけど。
実際、売り上げ自体は前年比でみれば、かなり伸びていた。ただ目標が相当高かったから、未達が確定的で売上目標自体が下方修正されていた。

その他にも、予算削減の動きがあった。
前まで、会社近くの飲食店1店舗と契約していて、その飲食店のランチが無料だったし、
同じビルにあるカフェの飲み物も従業員は無料だった。
その無料ランチ無料カフェが削減されるとか、その他諸々の予算削減があった。
海外オフィスの情報ではレイオフ実施なんていう話も出ていた。

寒風吹き荒ぶ12月?

自分が最初に退職勧告された翌週に、契約社員で構成されるチームが、年末までで全員雇い止めなんていう話も聞いた。人の不幸はなんとやら、じゃないけど、それで自分の能力の問題で退職勧告されたわけじゃないんだと思った。
とはいえ、正社員が10人いる部署で何で自分が最初に退職勧告されるのか、という点については納得がいかない。
合意書にサインした週に、同じ部署のほぼ同い年の人も12月末で退職という話を聞いた。
その人は、退職勧告されたわけではないらしい。
今年の前半までは、景気のいい話(今考えれば無駄使い)ばかりだったのに、まさかの展開。

感想とか

まずは、何と言っても正社員で採用されたにも関わらず、1年持たずにクビになったというのはショックだった。外資系企業は初めてで、雇用契約書も英語だったので、入社時に念押しで「正社員での雇用ですか?」と確認したのに。結果がこれ。
ストックオプションみたいな、譲渡制限付き株式も失効した。
前の会社は10年以上勤めていたし、今回も数年間は勤める予定だった。ユニコーン企業の上場に、中の人として立ち会えるのだと期待していたのに。
まぁ、会社の状況とか見ると、当初の予定通りの時期と金額で上場できるとは思わないけど。

ガッカリじゃない方の感想は、、
業務免除で、12月から働いていない。
でも給料は出る。(まだ給料日を迎えてないけど)
約4ヶ月分。
3週間ほど過ぎたけど、これはかなり良い。
私は、大学卒業後、最初に入った派遣出向型中堅IT企業を半年弱で辞めて1年半近く、いわゆるNEETをやっていた。資格取得を目指すという名目で。
自分に無職の素養があることは分かっていた。
30代後半だけど、いまだに実家生活。独身。
幸か不幸か身軽だったことで、精神的には特に追い詰められていない。今のところ。
ローンを組んでたり、養わないといけない家族がいたりしたら大変だったよね。

ボーナスが出なかったとしても、日本の平均年収を上回っていた。
就職氷河期世代の自分が、やっと氷河から抜け出しだと思ったのに、また氷河に落っこちてしまった。
結局、ガッカリなやつだ。これは。

精神的にはそれほどでも

自分の部署は、主要業務の成果が社内システムで数値化できる業務だった。
もちろん、測定方法はたくさんあって、本業以外の他部署連携とか色々あるわけだけど、一番単純な測定方法だと、私の下期の成績は正社員およそ10人いる中で2番目に良い数字だった。
そのおかげで、退職勧告の時は余裕で反論できた。
精神的にもあまり負担はなかった。
とは言え、ミーティングがあった日の夜とかは、いつもに比べて寝つきが悪いというか、あまり寝れなかった。

敗因

退職勧告の対象として自分が選ばれた理由。
敗因は、上司とウマが合わなかった、ということだと思う。
上司も私もあまり積極的に話しかけるタイプの人間ではなかったので、人事から辞めさせる人を選べと言われたら、私になったのかもしれない。
あとは、年齢とかもあるかも。チーム内では上司を除き2番目に年取ってた。
そういえば、リファラル採用で紹介してくれた人も8月末くらいで辞めていた。コネが消えたのは影響があるのかどうか・・?

もし今年3月に戻って、対象勧告を受けないことだけを目的にやり直すなら、 部署外、社外と連携する仕事を積極的に取りに行き、
上司に媚を売る、、じゃなくて積極的にコミュニケーションを取っておくことかな。
やらないけど。
他部署と関わる業務を積極的に行っていれば、必要な人材としてそもそも勧告の対象にならなかったのか、今となっては不明。

コミュニケーション能力?

理由として指摘されたコミュニケーション能力不足。
確かに口頭でのコミュニケーションについては、問題があるのは認識していた。
私は、喋り方が遅くて眠そうに聞こえるらしい、っていうか、スマホとかで録音した自分の音声を聞くと、すごく眠そうに聞こえる。   滑舌が悪いとか、語尾が聞き取りづらいとか。
長い人生で何度も言われたことがあるので、そうなんだろうね。
でも、そんなことは入社前の面接で分かると思うんだけど。
直す気はあまり無かったのだけど、実害が大きすぎることを認識した。

別に業務中に一人で黙々と作業していたわけでもないし、
新人的な人に質問をされたら、かなり詳しく答えてあげてたはずだし。
必要な時には自分から詳しい人に質問もしてたし。
業務免除で、会社に来なくていいと言われた前後に、同僚数人と昼ごはんに行く機会があったから、 事情を告げたら、上司の選択は意味が分からない、と言ってくれたぞ。お世辞か社交辞令かは知らないけど。

会社に居座らなかったのは

業務免除で1週間、働かずに過ごすと、思った以上に会社への忠誠心のようなものが薄れるなーと思った。 決め手となったのは、退職勧告を受けたのが11月だったから。 冬は寒いから外に出たくない。
他の季節だったら、嫌がらせで会社に数ヶ月居座るというのも十分可能性としてあった、、けど、冬に出かけたくないので、やっぱり辞めることにした。

今後のこと

同じような事業をやっているグローバル企業がもう1社あり、
最近、追加出資を受けて、同じくらいの企業価値になったようだ。
そこに転職してみたいと本気で思っている。
それが失敗したら、ベトナム関連の仕事をしてみたい。

転職自体について

退職についてだけでなく、今回の転職全般についての感想もあるのだけど、
記事が長くなったので別記事を書く予定。